フィールドで感じた違和感
ヒグマの食性から読み解く今年の状況

小川貴恵 渓流釣りの様子

北海道の渓流釣りとヒグマの存在

北海道在住の私にとって渓流釣りを楽しむ上で常に隣り合わせになるのが「ヒグマ」の存在です。ただ、ヒグマの存在についての感じ方は北海道においても地域差や個人差がありました。数年前までは「ヒグマなんて滅多に遭わない」という考えを持つ人やクマスプレーを携行しない人も多かったのですが、ここ数年のヒグマによる人身事故や出没の報道を受けて、釣り人のヒグマ対策の意識も高くなり、随分変わってきたのではないかと感じています。

私は渓流釣りを楽しむ上で必ずフィールドでヒグマの痕跡を探すようにしていて、その日釣りが出来るかどうか決めています。様々な痕跡がありますが、ヒグマの痕跡として一般的に一目でわかりやすいものといえば足跡、そしてその次にフンだと思います。

今回は実際にフィールドで見たヒグマのフンから感じた今年の事情についてお話しようと思います。

ヒグマの食べたものがわかりやすいフン。

ヒグマのフンはヒグマが「今、何を食べているか」を知る事が出来る大きな情報源であり、その中身を見る事でヒグマの行動を予測したり、自分の身を守るために気をつけるべき事を教えてくれるという側面もあると私は考えいます。

ヒグマのフンは不消化便が多く、食べているものがそのまま出て来ているようなもので、新しいフンなどを見ると色や食べたものの形がはっきりとわかる事も多くあります。

渓流で釣りをしながら林道などでフンを見かけて、そのフンの様子から「もうこんな季節かぁ」と季節を感じる事もありますが、今年はその季節を感じるフンの中身がいつもと違うのでは?と思うことがありました。

まだこんなものを食べている?今年のフンに感じた違和感。

今年は夏の終わりから秋にかけてちょっとした変化を感じました。山の実りのフンをあまり見かけなかったのです。これは山に入って渓流釣りをする私にとって、警戒を強めるポイントになります。

例年であれば、晩夏から秋にかけてヒグマのフンは山の実り(ドングリなどの堅果類やヤマブドウなどの液果類)が含まれたものを見かける機会が多くなるのですが、今年は草や昆虫のフンがこの季節まで多く見られ、逆に山の実りのフンを見かける事が少なく、人里が近いところで見かけたフンに関しては農作物を食べた事がわかるフンを見かける事も多々ありました。

農作物を食べた事がわかる熊のフン

このような状況から、早い段階で「今年は本当に山に実りが少ないのかも知れない」と、より一層気を引き締めて釣行するように心がけ、山の実りが少ない事やそのほかの様々な要因が重なって「例年以上にエサを求めてヒグマが山から人里近くへ降りてくるかもしれない」と、前もって警戒する事も出来ました。

このようにして、私はフィールドにあるヒグマのフンを観察しながら色々と予測をして自分の身を守る行動をするようにしています。

今年の山の厳しさとクマ問題の拡大

そして晩秋になってもフィールドで見かけるヒグマのフンは植物の茎や草などの繊維質のフンが多くなり、今年の山がいかに実りが少ないかを思い知らされ、今の出没状況があります。

最近北海道ではヒグマ、本州ではツキノワグマの出没や事故について連日のように報道されていて、TVや新聞では毎日のように専門家などが状況を分析し対策などを呼びかけているちょっと異常な状況です。

皆様ご存知のとおり今年は住宅街に出没する個体による事故もたくさん起きていて、クマの問題はアウトドアにおける問題だけではなくなりつつあります。

もしもの時に備えて出没が相次いでいる地域にお住まいの方は散歩や外出時にもクマスプレーを携行する時代が来ているのではないかと私は思います。
クマが出没している地域での夜間や早朝の外出などにはどうかお気をつけください。

FIELD NOTE

  • 今年は山の実りが少なく、フンに変化
  • 早朝・夜間は特に注意
  • クマスプレー携行を推奨